(↑前編はコチラ)
ライブ・ア・ライブを遊んだ感想記事の後編です。
前回は最初から遊べる7つのストーリーの感想を書いていきましたので、後編ではそれらをクリアした後に遊べる、中世編・最終編の感想を書いていきたいと思います。
前回同様にネタバレ全開なので、未プレイの方はご注意ください!!
中世編のストーリー
武闘大会で優勝し、お姫様のアリシアと結婚することができた主人公・オルステッド。
幸せいっぱいな未来が予想されましたが、その日の夜・なんとアリシアは魔王に連れ去らわれてしまいます!
アリシアを取り戻すため、魔王と戦うことを決意するオルステッド!
親友のストレイボウ・先代勇者のハッシュ・その仲間だった僧侶のウラヌスを仲間に加え、いざ魔王の元へ!!
という、「今までのストーリーは一体何だったんだ!?!?」と言うくらい、ザ・王道ファンタジーが始まりました!
中世編のラストを知っている私でさえ、この雰囲気に飲まれてワクワクしてしまいました。
しかしこのザ・王道ファンタジーも、オルステッドが魔王の罠にハマって、王様を殺害してしまったところから何かがおかしくなり始めます。
今さらこのゲームで、ワクワク王道ファンタジーが始まるわけがなかったんや!!!!
オルステッドは最後の希望・アリシアを救出に行きますが、その過程で自分を陥れた犯人が、親友のストレイボウだったということを知ります。
何もかもを失ったオルステッドは、絶望に耐えることが出来ず、自ら魔王になってしまいました。
ここから先は自分なりの考察も混じえながら、各キャラについて語っていこうと思います。
ストレイボウについて
誰が1番悪いかと言われたら、コイツだと思う。
ストレイボウはあのセリフが有名すぎるせいで、裏切ることは最初から知っていました。
しかし、「魔王像の仕掛けに自分だけ気付いたときに、感情が爆発した」といった発言から、仕掛けに気付くまでは、オルステッドのためか、アリシアのためか、はたまたルクレチアのためかは不明ですが、正義感からアリシア救出に向かっていたということが読み取れます。自分的に、ここは結構意外でした。
「感情が爆発した」って言ってるから、あわよくばオルステッドを出し抜こうという感情が全くゼロだったわけではないと思いますが、でもやっぱり、仕掛けに気付くまでは正義感のほうが強かったんじゃないかなー、と。
「優等生のアイツを出し抜くチャンス」という人間らしい感情で、ここまではまあ、私も理解できる感情です。
しかし、ストレイボウがやって良かったのは(良くはないけど)、自分1人でアリシアを救出して、城に帰って「自分がアリシアを救出しました!」と言って、王様から賛辞やら褒美やらをもらうっていう、ここまででしょう。
ですがストレイボウはそれだけに留まらず、オルステッドを絶望させようと、なんと王様殺しの罪まで着せてしまいました。
完全に王様がとばっちりすぎる。かわいそう。
最終編では「俺のせいなのか?」という、お前のせいに決まっているだろうという満場一致の回答が得られそうなことを呟いておられます。
ネットでは「反省の色が見えるからまだいい」という声も聞きましたが、私的にはこの台詞が反省しているように見えるかは微妙です。
私にはストレイボウのこの発言が「まさかアイツが魔王になるなんて」という、ここまでやるつもりじゃなかったといった旨の発言に聞こえました。
ストレイボウがやりたかったのは、ただ親友に陥れられ、国からも見放されてヘコんでいるオルテッドを見たかっただけですからね。
魔王になって、しかも世界滅亡までされてしまったことは、完全に予想外だったのでしょう。
ここは私の想像なんですが、ストレイボウから見たオルステッドは、何でもそつなくこなす出木杉くんみたいな優等生タイプだったんじゃないかと思います。
なにか欠点でも見つけて嫌みの一つでも言ってやりたいところですが、オルテッドは性格も温和で、誰からも愛されるような人物でした。
それはストレイボウも例外ではなく、劣等感も抱きつつも、彼にとってもオルステッドは親友だったのでしょう。
そんな出木杉くんのようなオルステッドは、周囲からは「勇者」と称され、魔王とは最も遠いタイプの人間でした。
そんな魔王とは一番遠い存在であるはずの彼が、魔王になってしまった。
ストレイボウの発言は「反省」というよりも「驚き」の面が強いんじゃない?と私は感じました。
ストレイボウとアリシアの行動については、「魔王山の影響でおかしくなってしまっていた」という解釈もあるようです。
ですが私は魔王とか全然関係なく、この一連の流れは人間の欲望とか、そういった負の感情が起こした事件って解釈のほうが好きですね。
魔王山の影響を受けていた、と思ったほうがまだ納得できる部分がある、っていうのも確かなんだけどさ。
アリシアについて
スクウェア三大悪女と呼ばれている彼女ですが、私の最終的な感想は「言うほど悪女か?」というものでした。
いや、オルステッドが魔王になってしまった最後の引き金を引いたのは彼女です。そこは間違いありません。
それを承知の上で「悪女か?」と言っています。
オルステッドがようやくアリシアの元にたどり着いた時、アリシアが最初に言ったのは「なぜ来てくれなかったの?」でした。
「いやいや、いま来たじゃん!!」とその場で思わず私はツッコミましたが、ちょっと間を置いてから考え直しました。
アリシア視点から見て、中世編の物語はどう映っていたのでしょうか。
まずアリシアは魔王に連れ去らわれ、1人怖い思いをしていました。
でもきっと、オルステッドなら必ず助けに来てくれる!アリシアはそう信じて、オルステッドの助けを待ちました。
しかし、実際に助けに現れたのはオルステッドではなく、その親友のストレイボウ。
当然、アリシアはストレイボウに「オルステッドはどうしたの?」と聞いたことでしょう。
私の想像ですが、ストレイボウはきっとこう答えたんだと思います。
「オルステッドは魔王に恐れをなして逃げました。しかし、ご安心ください。魔王は私が倒しました!」
オルテッドのことを誰よりも信じていたアリシアは、この発言にショックを受けます。
実際の理由はどうあれ、オルステッドはアリシアの救助に来ず、城に帰ってしまったのは本当のことです。
居なくなった魔王。それなのに助けに来ないオルステッド。そして目の前には自分を助けに来てくれたストレイボウ。
この状況なら、アリシアは一体誰を信じるでしょうか?
それに、オルステッドがアリシアの元に来たのは、ストレイボウが助けに来てくれてから1~2日後。
これでは「魔王が居なくなったと分かったから、ようやくやって来た情けない男」のようにアリシアには映ったかもしれません。
「オルステッドが逃げるだなんて、そんなはずない!」と、アリシアが言えるような深い仲であれば良かったんですが、アリシアにとってのオルステッドは「武闘大会での優勝者」というそれだけの接点しかありませんでした。
「いやいやお前、"オルステッドのことを誰よりも信じます"って言ってたやんけ!」という声も聞こえますが、私の考えはこうです。
ストレイボウが迎えに来るまで、アリシアは確かにオルステッドのことを誰よりも信じていました。
信じていた分、オルステッドに裏切られたショックはとてつもなく大きかったことでしょう。
そう、アリシアのことを先に裏切ってしまったのは、オルステッドのほうなのです。(※アリシア視点の話です)
オルステッドを深く信じていたからこそ、ストレイボウの発言にアリシアは強くショックを受けてしまった。
そして中世編の悲劇は起きてしまったんだと私は解釈しています。
あと、アリシアは最終編で
「お願いです…止めてください…オルステッドを…」
という発言をしています。
この発言を「自分のせいってことに気付いてないんじゃねーの?」というネットの声を拾いましたが、本当にそうでしょうか。
まず最終編のアリシアは霊体?となって登場しています。
国王がルクレチアの最期を知っていたりだとかの様子から、アリシアもオルステッドが魔王になってしまったことを知っているのだと推測できます。
そしてこれも推測ですが、オルステッドも本当は、ちゃんと自分を助けに来ていたという真実を、霊体になってから知ったのではないのでしょうか。
これらのことを踏まえ、私の想像でアリシアの台詞を補完するとこうなります。
「(どうして私は彼の言葉を聞こうとしなかったの…
最後までオルステッドを信じてあげることが出来なくてごめんなさい。
でも、こんな体になってしまった私には、もうどうすることもできない…)
お願いです…止めて(あげて)ください…オルステッドを…」
と、このようになります。
アリシアを美化しすぎですか?すみません。
まあまあ、オルステッドが愛した女性なんだから、夢見たっていいじゃない。
それにディレクターの時田さんは、この台詞で「アリシアのことをフォローしたつもり」と言っていたことから、良い意味に捉えてほしかった台詞なんじゃないかな、と思います。
まあ、どれだけ解釈を重ねたところで、プレイヤー視点から見たら「助けに行かなきゃ!という気持ちが最大値に高まっていたところで、他の男に心移りしていて、その上自殺する女」ですからね。
「なんでえ!こんな女なのかよ!」というプレイヤーの気持ちも合わさって、悪女扱いされてしまった不幸なキャラクターなのかな、って認識です。
魔王(偽)について
「拐うなら女の子というのがモンスターの常識」とか言っているヤツです。
なんてエッチなモンスターだ。
コイツは言うなれば、オルステッドが魔王になってしまった原因(アリシア)の原因(ストレイボウ)の原因を作ってしまったヤツです。
「最初にきっかけを作ったのは誰か」と聞かれたら、コイツでしょう。
ただアリシアを拐っただけなら良かったんですが(※良くはない)、コイツは魔王像の仕掛けの奥という、妙に凝った場所にアリシアを隠していました。
なんてエッチなモンスターだ。
そのせいで、ストレイボウの普段隠していた感情が爆発してしまいました。
もうコイツが中世編の魔王でいいだろう…。お馴染みのBGMも流れてたし…
ていうか、ハッシュの「コイツは魔王じゃない!だって弱いもん!」って発言も、事態をよりややこしくしてしまった気がします。
コイツが魔王でいいじゃん!!!!
つーか魔王じゃなかったら一体なんだったんだよ!
ただのエッチなモンスターじゃん!!!!!
オルステッドについて
突然喋りだしたことよりも、一人称が「私」だったことにまず驚いてしまった。(「僕」系の主人公だと思っていました)
今まで台詞が一切なかったオルステッドが突然喋りだしたのは、これまでオルステッド=プレイヤー自身だったのが、憎しみに囚われて別の存在になってしまった、という表現なのかな~と思いました。
魔王となったオルステッドがやったことは、いろんな時代に介入して、敗者(オディオ)を勝たせることでした。
親友の気持ちを理解できなかったこと、それから愛する人に「負けた人の気持ちが分からない」と言われたことで、オルステッドは深く傷ついていたんですね。
「敗者の気持ちを分かってあげること」
それがすべてを失ったオルステッドにできる、アリシアへの唯一の愛情表現でした。
そんな風に真面目に考えてしまうあたり、ここからもオルステッドの性格のよさが伺えます。
今回の場合は、性格のよさが明後日の方向に行っちゃったんだけどね…
最終編でオルステッドを選んだ場合、人類は滅亡。
世界に1人きりになってしまったオルステッドは、ウラヌスとハッシュの家に行き、武闘大会でストレイボウと戦った場面を思い出し、最後にはアリシアと親睦を深めたテラスに行きました。
魔王になった後も、オルステッドの意識はまだ存在していることが分かります。
すべてを失って、魔王となったオルステッド。しかし、人類を滅亡させたことで、とうとう魔王である理由も失ってしまいました。
1人テラスで佇むオルステッドは一体どんな心境だったのでしょうか。
魔王でありながら人間でもあったオルステッドは、「これで本当によかったのだろうか」という後悔だったり、「これで良いんだろう?アリシア、ストレイボウ…」という間違った解釈していたり、いろんな感情がごちゃ混ぜだったんじゃないかと思います。
でもやっぱり、真面目なオルステッドなら哀しみの面のほうが強そうですね。
「SAD END」という表示通り、こんなに悲しいエンディングは見たことがありません。
あと、オルステッド(ピュアオディオ)は技名に「アリシア」の名前が付くものがあることと、止めをさした場合のエンディングで、最期の言葉が「アリシア」だったことから、彼は本気でアリシアのことを愛していたということが分かります。
これについてですが、オルステッドのアリシアへの愛は「勘違い」を多分に含んでいると私は考えています。
まず結婚してすぐ、アリシアは魔王に拐われてしまいました。
人間は手に入ったと思ったものを失うと、よりそれが欲しくなるという心理があるそうです。
そんなわけで、この時点でオルステッドの中でのアリシアは、相当美化されていたことでしょう。
さらにストレイボウの罠により、オルステッドに残されたのはアリシアのみとなりました。
これにより、アリシアの美化は益々進んでいたことと思います。
こんな形で、「自分はアリシアのことを深く愛している」と「勘違い」してしまったのではないかなー、と。
ほら。FF7で、ティファがクラウドと幼なじみだと勘違いしちゃってたやつみたいな。そんな感じ。
まあ、勘違いの積み重ねだろうと、愛には違いないんだから「オルステッドは、アリシアのことを本気で愛していた」という結論に変わりはないんだけどさ。(じゃあ何が言いたかったんだ…
出木杉くんタイプ(※妄想)のオルステッドなら、そんな積み重ねがなくても真剣に愛していたかもしれないしね。(本当に何が言いたかったんだ…
私は最終編では、マサルを主人公に選びましたので、トゥルーエンドでのオルステッドから「私は心が弱かった…」みたいな台詞を聞きましたが、親友に裏切られ、国からも追い出され、愛する人も失ったら誰だって絶望すると思います。
そんなに落ち込まなくてもいいよ……
上にも書きましたが、出木杉くんタイプ(※妄想)で誰よりも魔王とは程遠い存在だったオルステッド。
そんな彼が、いろんな要因の積み重ねで魔王になってしまいました。
「誰だって魔王になる可能性はある」
繰り返し言っていたこの言葉が、LIVE A LIVEで最も伝えたかったメッセージなのかな、と思いました。
まとめ
前後編に渡って、長々とライブ・ア・ライブの感想を書いていきました。
ライブ・ア・ライブはたくさんのストーリーから出来上がっているゲームでしたが、そのどれもが「面白い!」と言えるのがすごいと思いました。
こんなにも面白いに、当時30万本とかしか売れなかったのが信じられないです。
当時は他のゲームも熱かったことと、このゲームが変わり種扱いされていたということが原因らしいけどね…
著作権の関係から移植は難しいと言われていた本作ですが、今ではWiiUやNew3DSのバーチャルコンソールで遊ぶことが出来ちゃいます!
この記事をここまで読んだ方で、未プレイの方はおそらくいないかと思いますが、未プレイの方にはぜひぜひプレイしていただきたい作品です!
「昔やったな~」って人にも、今一度プレイしていただきたいです!
きっと当時とは違った視点で、このゲームが楽しめると思いますよ!
最後に、私がライブ・ア・ライブという作品を知るきっかけとなった画像を貼っておきます。
「蒼い世界の中心で」というWEB漫画の、「アリシテッド」って名前のキャラクターです。
こちらも楽しい作品なので、もしよかったら是非読んでみてください!
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