なくらの冒険の書。

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主に漫画・アニメ・ゲームについて語るブログです。

シェーラひめのぼうけんの紹介

今回は児童向けのファンタジー小説、『シェーラひめのぼうけん』の紹介です。
私が小学生の時に読んでいた小説なんですが、懐かしくなって読んでみたら大人になった今でもメチャクチャ面白かったので、読了した勢いで紹介記事を書いていきたいと思います。

著者は村山早紀氏。作品は全10巻です。
また、2019年には本作を上・下巻に分けた愛蔵版も登場しました。
愛蔵版には加筆された部分もあるようですが、今回私が読んだのは、オリジナルのフォア文庫版(図書館版)なので、加筆についての紹介は無いです。すみません。

大体のお話

主人公のシェーラは、砂漠にある王国「シェーラザード王国」のお姫様。
これまでシェーラは平穏に暮らしていましたが、ある日、悪の魔法使い「サウード」によって、王国の人々が石にされてしまいました。
王国の秘宝「魔神の指輪」の力によって、王国でたった2人生き残ったシェーラと、幼なじみのファリード。
彼らは石になった人々を助けるべく、王国を旅立ちます!
目指すは何でも望みを叶えるほど、強力な力を持った「魔法の杖」!!

バトルあり

冒険小説ということで、この作品にはもちろんバトルシーンが存在します。
主人公のシェーラ姫は怪力が自慢で、その腕力で大抵の輩はブッ飛ばしてしまえるほどの力を持っています。
幼なじみのファリードは魔法使いなので、魔法の力で敵と戦います。
最初の町で出会った泥棒少年のハイルは、素早いこととナイフの扱いが上手いことが自慢です。
こんな感じで、ドラゴンクエストの職業で言うと「戦士」「魔法使い」「盗賊」のようなメンバーで基本は進んでいくことになります。

また、シェーラは前述のとおり、「魔神の指輪」と呼ばれる強力な秘宝を持っています。
中には「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」という名前の魔神が眠っており、呼び出すとどんな状況でも大体なんとかしてくれるというチートアイテムが初期装備となっています。
そんなチート魔神が常にそばにいるのであれば、シェーラたちの冒険は安心して見ていられる…と思いきや、魔神を呼び出すのに必要な指輪を落っことしてしまったり、両手がふさがっていて呼び出すことが出来なかったり、なんらかの制限がかかって召喚できないことがしばしばあります。

「強力な魔神がいるから大丈夫」という安心感を出しておいて、それを使えない状況にして読者をハラハラさせる、というバランスになっているのかもしれませんね。

感動あり

シェーラ姫は行く先々でさまざまな出会いと別れを繰り返し、その中には感動的な場面もいくつも存在します。
私が特に印象に残っているのは、第7巻の「ガラスの子馬」です。
それまでの冒険で「悪の魔法使いのサウードって、実はそんなに悪い奴じゃないんじゃない?」と思われるシーンが何度か描かれているのですが、この7巻ではついにサウードの過去が語られます。

かつて天才魔法使いと呼ばれていたサウードが、なぜ悪の魔法使いになってしまったのか。
そのすべてがこの巻で明かされます。

ロマンスあり

さて、このシェーラひめのぼうけんを語る上で欠かせないのが、やはり主人公シェーラと幼なじみのファリードの関係でしょう。
ファリードはシェーラに惚れこんでいましたが、シェーラは王国のお姫様。
対して自分はシェーラの遊び相手として、一緒に育っただけという一般市民でした。身分違いの恋というやつですね。
シェーラはいつか、自分以外の誰かと結婚することだろう、という未来像にモヤモヤしつつも、ファリードはシェーラのそばに居られる今この時間に幸せを覚えていました。

シェーラのほうはというと、そんなファリードの気持ちには気づいておらず、ファリードのことを「1番大切なお友だち」としか見ていませんでした。友達以上、恋人未満といったところでしょうか。
ファリードは気弱な少年で、彼が落ち込んでいる時にはシェーラが慰めてあげる。そんな姉弟みたいな関係でした。

しかし、冒険を繰り広げていくうちに、2人の関係にも次第に変化が現れます。
極限状態の中、ついにファリードはシェーラに自分の想いを打ち明けるのです。
それに対するシェーラの答えは…

この続きはぜひ、ご自身の目で確認してください。

まとめ

作者の村山先生はこの作品を「30分の連続アニメのようなものにしよう」という考えからスタートされたそうです。
実際にこの本を読み終えると、1つのアニメを見終えたような満足感が得られます。
毎回気になるところで終わるのも、まさに30分アニメのような感覚です。

この作品は小学校高学年向けの作品ということですが、文字がそれなりに大きくて各巻のページ数も少なめなので、最近視力が落ちきて活字を読むのがツラくなってきた私でもサクサク読むことが出来ました。
挿絵も少女漫画チック?な可愛らしい絵柄で、どちらかと言えば女の子向けの作品かもしれませんが、冒険ものなので男性でも楽しく読めるのではないかな?と思います。

この作品には続編が存在し、「新・シェーラひめのぼうけん」というものもあります。
こちらは私は読んだことがないので、今から読むのが楽しみです!